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コズミックホラーの父


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世界の偉人イラスト化企画【Heroic Paranoia☆2012!!!】用のイラストです^^
お次は“クトゥルフ神話の創始者”ハワード・フィリップス・ラヴクラフトをデザインしてみました。
彼の後ろにぴったりくっついてるのは、夢に棲む夜鬼“ナイトゴーント”のつもりです^^;
実は私がクトゥルフで一番好きなモンスターはコイツでして!
見た目ものすごくナイトメアなのに、くすぐり攻撃が得意なとことか可愛くて(笑)

ホントは企画宣伝用のポスターの端っこに入れさせていただく予定だったのですが、バタバタしていて制作が遅くなってしまいまして;
せっかくだから構図も変えてしまえと思ってイチから描き直してたら、余計に時間食ってしまいました;;
ちょうどハロウィンの時期だったので、カラーリングがちょっとだけハロウィンを意識したものになっているのですが……31日中に投稿できなかったっていう(´;ω;`)

ありがたいことにリクエストをいただいたので、着色前のモノクロバージョンもアップしてみました。
グリザイユ画法初挑戦イラストです><;


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創作をやってらっしゃる方は、ラヴクラフトの生み出したクトゥルフ神話を愛されてる方も多いと思いますが、知らない方のために少し解説を。

ラヴクラフトは、20世紀初頭に活動していたアメリカの小説家です。
秘密結社やカルト教団が猟奇的な事件を起こすこともしばしばあったこの時代は、近代的な科学と怪しげな魔術とが交錯していた時代でもありました。
そんな時代にラヴクラフトは、未知なる宇宙や深海への恐怖を描いた“コズミックホラー”というジャンルを生み出しました。

クトゥルフ神話とは、簡単に言うと“旧支配者(かつて宇宙を支配していた異形の神々。今は深海や辺境の地、あるいは別次元など、人の手の届かない場所で眠っている)”と呼ばれる存在が、何かの拍子に人の前に現れ、関わった人間の運命を狂わせてしまう――というようなお話です。
“旧支配者”に遭遇した人間は、大抵発狂したり異形の怪物に変容してしまったりして、破滅の運命を辿ることになるのですが、この旧き神々というのが、それまでオカルトの代表格であった幽霊や悪魔たちとは一線を画する存在なのです(このあたりはもう、“読めば分かる”としか言いようがないのですが……)。
彼らは外見的にタコや魚などの海洋生物に酷似したものが多いです。
これは、ラヴクラフトが“海産物が嫌い”なところから来ているようです……その辺はちょっとおちゃめな感じも(笑)
イラストにも描いた“ナイトゴーント”は、ラヴクラフトが夢の中で苦しめられていた夢魔なんだとか。

他に彼の作風に大きな影響をもたらしたと言われているのが、彼の両親です。
ラヴクラフトの父は、彼がまだ幼い頃に精神疾患を患った末、死亡。それを見ていた母親も精神を病んで早逝したそうです。
多感な幼い時期に、自分の最も近しい人が狂っていく様を見ていたラヴクラフトは、「いつか自分もこうなるのかもしれない」という恐怖に苛まれながら育ってきたのだとか。
何とも数奇な人生ですよね……。



クトゥルフ神話の最も面白いところは、ラヴクラフトの死後、彼の作品を愛したいろんな作家が、その世界観を継承した別の物語を次々と生み出していったという点。もちろんそれは現在進行形でもあります。
つまり正確に言うと、ラヴクラフトの生み出したものは体系化された“クトゥルフ神話”ではなく、神話の原型となる世界観だったということですね(ラヴクラフトの小説が評価を受けたのは死後のことで、生前は一部のマニアの間でのみ愛好されていた小説だったようです。当然執筆だけでは食べていけないので、文章の添削などをやって生計を立てていたそうです)。
ひとつの世界観を使っていろんな作家が物語を生み出すって、素晴らしいですよね!


巷に溢れているゲームや漫画などにも、クトゥルフ神話の影響を受けた作品はたくさんありますよー^^
一癖も二癖もあるお話ばかりではありますが、興味のある方は是非是非読んでみてください!

 

《2012年11月制作》
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